河川敷伐採作業

 広大な河川敷地の伐採事業を担当させていただいている。機械化された新しい林業の姿がここに集約されている。
伐倒(チェンソー)
▲ 対象樹種はクルミやアカシア等の広葉樹、先行伐倒は主にチェンソーが担当している。

木寄せ・搬出道作設2
▲ ザウルスロボが木寄せしながら搬出道を作設する。

造材・集積(グラップルソー)
▲ 造材、仕分け集材はグラップルソーやハーベスタが担当する。

搬出(フォワーダ)
▲ フォワーダが幹材、枝、抜根等に区分して、指定された場所まで搬出する。

全景
▲ 多様な高性能林業機械が安全な作業間隔を確保しながら、集結して作業している。

思うこと
 林業分野における伐採作業は、余り人目に触れない場所での作業が多い。取り分け国有林事業においては山懐深い林分での担当が主流である。今回、建設会社よりの依頼で河川敷での伐採作業を担当している。周囲は道路、橋梁、堤防、農地等であり、作業している様子が上から臨むような形で見ることができる。近隣の方々など多くの人達が足を止めて作業の様子を見学している。林業関係者以外の方々には、最新の林業生産技術が高性能林業機械の普及をはじめ、進歩高度化している現実が理解されていないし、周知されていないように思う。現場で何人かの方にお話を聞いたが、「こういう機械での作業をはじめて見た。作業が早いね。凄い機動力だね・・・」感嘆しきりである。多くの人達に林業作業の実際を見ていただいて、緊張しながらも大きな励みであるように思う。林業の3Kイメージを少しでも払拭できるようであれば嬉しいことである。皆さんは河川敷が整備されることを非常に喜んでいるようであり、作業を担当している私達にも優しく話しかけてくれる。現場で温かく迎えていただいていることは、会社としてもこの上ない喜びであり、励みであり、心より「感謝」である。
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エリート(自称)カラマツ

 昨年春、社有林に12本のエリート(自称)カラマツの苗木を植栽した。30cm程の裸苗であった。2夏を経過し、害虫に食害され枯損したものもあったが、スギと比較し、総じて上長成長が優れているのが特徴的である。落葉することから雪害に強いという印象であり、豪雪地帯の早生樹として期待している。
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▲ 4月に植栽して2ヶ月後、既に1.5~2倍の樹高となっているものもある。

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▲ 今年の10月、最も上長成長したものの樹高は、植えた当初の5倍強の167cmであった。一見、弱々しさも窺える。これから雪の季節がやってくる・・・逞しく乗り越えてほしいと願う。

思うこと
 カラマツは荒れ地・痩せ地・湿地に生育し、林形成の過程で最初に生えるパイオニア的樹木といわれる。戦後、当地域でも植栽された歴史はあったが、材質としては割れや狂いが生じやすいという特徴があるため、この地域での建築用材利用は敬遠されるようになった。また、ヤニを含んでいる為、パルプ材としての利用が難しく、当時の技術では板材としての利用も難しかったため、炭鉱や工事で使う坑木、電柱として利用する目的だったようである。 しかし、やがて坑木の用途は無くなり、鋼材やコンクリートに置き換わってしまい利用価値がなくなってしまったが、最近の木材加工技術が向上し、カラマツの欠点が克服されつつあり、カラマツ材を利用する動きが活発である。木材を蒸気で蒸すことで、ヤニを封じ込め、ねじれも直し乾燥もさせるという技術の開発によって、合板、梱包材としての木枠や、集成材という加工技術を使い大規模な建造物にも使われている。
 スギよりも硬く、粘りのある材質で、年輪や木目は赤みを帯びており、力強い印象を受けるカラマツは屈辱・苦難の時代を乗り越え、脚光を浴びる時代を迎えている・・・

葛(クズ)の脅威

 山林は元より、空き地や土手、道端などで他の草木にツルを巻き付け勢いよく伸びている葛が目を引く。葛はマメ科のつる性植物で、かつては、つるや葉は家畜の餌となり重宝されていた時代があった。ところが近年はそれを利用する事も少なくなり、放置される状況が増えており、今まさにこの葛が脅威になりつつある。
葛1 (2)
▲ Ⅰ令級のスギ人工林、晩秋の今、造林木に巻き付き、覆い尽くしている・・・

葛1
▲ Ⅲ令級のスギ人工林、造林木に葛が巻き付いたまま雪が降ったら・・・

思うこと
  葛は成長が早く、大木ですら大きな葉で覆い尽くしてしまう植物で、凄まじいスピードで増殖する。葛の天敵は、それを活用していた人間だったのであるが、時代の変遷により利用することがなくなり、天敵のいなくなった葛は大繁殖を始め、やがて脅威になるかも知れないのである。繁殖力が高いということは、緑化が進んでいるということではあるが、この葛の大きな問題は、ほかの植物よりも格段に強いその繁殖力なのである。葛に巻きつかれた木は、葛の葉が茂るため光合成が出来なくなる。それ以上に、巻きつかれた木を蒸れさせて枯損させてしまう。葛が地表に広がれば他の植物が繁殖することは難しくなる。それは、葛しか生えない緑の砂漠になってしまうのである。
 スギ人工林等地域森林資源が成熟化し、間伐から皆伐施業へと移行していく中で、再造林施業は必要不可欠な挑戦である。伐採したら適地には植栽し、下刈りを行うなど育てていくという取り組みが必要なのである。この過程において葛の驚異的な繁殖力は大きな障害になるように思える・・・

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