針広混交林

 後継者難等により山離れ現象がすすむ中で、山林を譲渡したいという意向の所有者が増えている。当該地域森林についてはできるだけ希望に即して譲り受け、林業経営を継承していく方向で対応してきている。その中には長期間保育施業を行っていない、いわゆる手遅れ林分が見られる。平成30年、関係機関の指導をいただき、侵入した広葉樹も受け入れ、総体的に針広混交で健全な姿に誘導する施業に挑戦した。その後、どういう林相となっているのか、補正手入れは必要なのか・・・9月のある日、情報を求めて山に行ってみた。
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▲ 針広混交林とは森林の最上層である林冠層で針葉樹と広葉樹が混じり合っている森林と定義されているが、当該施業現場はどうだろうか・・・深緑の季節であり、外見的によくわからないかと思っていたが、スギの樹間に広葉樹の淡緑林冠層が確認できる。

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▲ 林内に入ってみると、形状比、樹冠長率等に課題を残しているが、施行前に目立っていた雪害木、被圧劣勢木、枯損木がなくなって、広葉樹が林内に受け入れられていることが確認される。

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▲ 施行前には極めて脆弱であった下層植生も、3年の時を経て徐々に回復している。

思うこと
 スギ人工林が針広混交化していくプロセスは一様ではない。起因するものとして、下刈り・除間伐等の手入れが不足したこと、雪害等により林内に大きなギャップができたこと、そして植栽地が適地適木理論を逸脱した不適造林地であったこと等が考えられる。このことにより不成績造林地は荒廃していく傾向を示すが、侵入している広葉樹も受け入れ、人工的に針広混交林化へ誘導していく施業は、森林の木材生産を含めた多面的機能の回復、豊かな森林生態系へ移行させていく挑戦でもある。しかし、誘導施業を行っても当該森林が完成形になるまでには膨大な時間が必要である。この長いタイムスケールの中では広葉樹の侵入定着・成長・混交という段階にあわせた施業が求められる。今後、どのようなバックアップ施業が必要であるかは、現場で自然界に向き合ったとき、森林の現況が教えてくれるような気がする・・・
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小径木加工場

 スギ等小径木の有効活用を目指している院内工場は、地域の皆さんに支えられ、丸棒生産に、多様な板類生産に、大奮闘の毎日である。
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▲ 径級14cm以下、材長2~4mの小径木は、自社の素材生産現場や地域の森林組合・林業事業体から集荷されている。

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▲ 冬を前に、雪囲い用の比較的細い径級のローリング丸棒の受注が多い・・・

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▲ 建築用はじめ、型枠、パレット用の板類生産が継続している。 

思うこと
 地域森林資源が成熟化し、利用間伐施業で大量に生産される小径木の有効活用を目的に施設の拡充を図ったのが当該工場の前身である。昨年春、縁があって地域事業体から工場経営を継承した。加工施設機械の老朽化があり、機械能力的にも生産性の確保が危惧されたが、今年の丸棒は豪雪による果樹災害復旧材料として、板材は野地板等一般需要の外に土木用資材としての受注があり、フル操業の毎日である。大規模製材工場の進出が取りざたされる昨今、実に小さな工場であるが、地域需要に応えていくことを使命とし、地域の皆さんにめんこがってもらえることを糧に、今日もチーム一丸となって小さな挑戦を続けている。
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